兵庫県における本事業の取組のお知らせ

各地域で本事業における具体的な推進の動きがみられております。

今般は12月頭に開催されました兵庫県及び兵庫県下の自治体、まちづくり団体等にて第1回会議のご案内をさせていただきます。

先行自治体の神戸市、京都市の条例の研究、現行制度の課題の把握の上、各部門が役割分担のもとで新制度づくりへの方針が共有されました。今後は継続的に県及び県下の自治体が協働で、制度設計を行われる予定です。

日時 :12月3日(火)13:30〜16:30
会場 :県庁1号館11階会議室
出席者:兵庫県建築指導課、景観形成室、豊岡土木事務所、丹波土木事務所
豊岡市、養父市、朝来市、篠山市、一般社団法人ノオト 16名

一般社団法人ノオトのこれまでの取組は次のサイトをご覧下さい。

空き家活用と地域再生 一般社団法人ノオト代表理事 金野幸雄

全国町並み保存連盟「関東ブロック会議 in 川越」のおしらせ

全国町並み保存連盟関東ブロック会議におきまして、

地域協働推進機構の藤倉が本事業に関して(及び今後の進め方に関して)お話させていただく時間をいただきました。

115年の元芝居小屋、旧鶴川座での開催は大変貴重なものです。

関東の皆さま、お時間ございましたら是非お越しください。

日時 2013年12月1日(日)
会場 川越市旧鶴川座(埼玉県川越市連雀町8)
参加費 1000円 学生500円
定員 150名
プログラム 13時15分~15時  映画「まちや紳士録」試写会
15時 あいさつ
基調講演 「川越の歴史まちづくり」(仮題)  羽生修二(東海大学教授)
団体報告・討論 進行:荒牧澄多(川越蔵の会・関東ブロック長)
17時終了
17時~18時30分 懇親会

主催 NPO法人全国町並み保存連盟関東ブロック
共催 NPO法人川越蔵の会
問合せ NPO法人全国町並み保存連盟事務局 電話:03-3595-0731  FAX:03-3595-0741

お知らせ(11月7日の第1回会議に関しまして)

歴史的建築物のオーナーの皆様方

大変多くのお問い合わせを頂き、ありがとうございます。

11月7日の第1回会議に関しましては、

自治体の関係者の皆様を対象とした会議となっております。

大変申し訳ございませんが、その旨ご容赦いただけますよう

宜しくお願い申し上げます。

 

尚、今後の展開に関しましては改めてご案内させていただきたいと存じます。

今後とも何卒宜しくお願い致します。

 

ネットワーク加盟メンバーについて

歴史的建築物活用ネットワークは昨年(2013)9月に「歴史的建築物を活用し、後世に継承を図っていくこと」を目的に、長年保存活動を実践されてきた団体、専門家、そして制度の側面から積極的な支援を行ってきた自治体、新しく活用を通じて地域づくりや着地型観光を行おうとするまちづくり組織などが集い、国家戦略特区へ提案を行った任意の組織です。

現在、35自治体、20中間組織(まちづくり会社等)、7関係団体からなっております。(20140403現在)

■構成員
35自治体
山形県鶴岡市
石川県金沢市
石川県加賀市
岐阜県高山市
岐阜県大野郡白川村
愛知県犬山市
滋賀県彦根市
京都府福知山市
京都府宮津市
京都府南丹市
京都府木津川市
京都府綴喜郡井手町
京都府綴喜郡宇治田原町
京都府相楽郡笠置町
京都府相楽郡和束町
京都府与謝郡伊根町
京都府与謝郡与謝野町
兵庫県豊岡市
兵庫県篠山市
兵庫県養父市
兵庫県朝来市
奈良県
奈良県奈良市
奈良県大和郡山市
奈良県橿原市
奈良県桜井市
奈良県五條市
奈良県御所市
奈良県宇陀市
奈良県高市郡明日香村
奈良県吉野郡吉野町
岡山県倉敷市
愛媛県内子町
福岡県八女市
福岡県太宰府市

7関係団体
全国ヘリテージマネージャーネットワーク協議会
日本伝統建築技術保存会
NPO法人全国町並み保存連盟
大和・町家バンクネットワーク協議会
一般社団法人奈良県建築士会
一般社団法人伝統を未来につなげる会
一般財団法人京都伝統建築技術協会
(歴史街道推進協議会)※調整中

19中間組織(まちづくり会社)
古民家オーナーズコミュニティ有限責任事業組合《宮城県》
一般社団法人IORI倶楽部、株式会社明天《会津若松市》
株式会社マチヅクリ・ラボラトリー《栃木県》
株式会社地域協働推進機構《埼玉西部地域》
株式会社まちづクリエイティブ《松戸市》
関内イノベーションイニシアチブ株式会社《横浜市》
コトラボ合同会社《横浜市、松山市》
株式会社地域交流センター企画《富山県》
テルミヌス《奥能登》NPO法人申請中
おうみはちまん町家再生ネットワーク《近江八幡市》
一般社団法人ノオト《丹波、但馬、丹後》
NPO法人町なみ屋なみ研究所《篠山市》
NPO法人H2Oひめじ《兵庫県》
淡河かやぶき屋根保存会 くさかんむり《神戸市》
NPO法人倉敷町家トラスト/一般社団法人 倉敷未来機構《倉敷市》
NPO法人グリーンバレー《神山町》
株式会社石見銀山生活文化研究所《大田市》
一般社団法人ROOT

事務局

歴史的建築物活用ネットワーク info〈アットマーク〉h-ar.net

 

 

法令遵守と安全性の確保

建物の安全性は法令で確保するもの
それだけではないんだよ

とする、運動の設計

私たちは法令遵守を至上命題と捉え、大切にルールを育もうとしてきました。

しかしながら、言わずもがな、法令遵守をしてさえすれば、安全性は確保され、私たちの生活は安心安全で豊かになるといったことはありません。

本運動論に関連していえば、

建築確認制度という制度は、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準」が定められており、自治体の建築主事が着工前にその最低限の基準が満たされているかどうかを確認するものとされています。

建築確認制度は、この手続きを受けなければ、建築工事が出来ないという効果のみであり、工事が完了した後や、それ以降、その建築物がどうなっているかはほとんど問題にされません。しかしながら、言わずもがな、建築物は長期にわたって使用されます。

日常の中で、施主が愛し、地域に愛され、育っていく建築物の安全性の確保は誰が行うべきか。どうやって行われるべきか。

着工前の基準を満たすか否かのチェックだけではなく、それ以降の育て方に関しての「眼」をどう育んでいくか。

これらはとても大切な議論です。

私たちは日常で既存不適格とされた建築物を多く抱え、一方で、全国一律の高度化への公共性の付与に基づく法令の下で、建築物を(1)どうつくり、(2)育てていくかという課題を抱えています。

長年、法令や制度の形骸化への指摘がなされて、そのひとつの対応の帰結として規制強化がなされてきました。

しかしながら、「規制強化がなされればなされるほど安全性が確保される」といった単純な構図はもはや私たちの社会で支えることがむずかしくなっています。

しかしながら、その解決の解は容易には見つからず、既存の法令遵守の強化や自治体の建築主事の確認の仕組み等を安易に否定する立脚は、解決の手立てを遠ざけています。

(1)つくり、(2)育むための仕組みはどのようなものでしょうか。

法令遵守の徹底、規制強化に頼ることで、失われたもの、得られたものは各々どういったものでしょうか。関係者はどのように関わることが可能でしょうか。

制度改革を踏まえたこの運動体が小さな答えを出し続けていくことが出来ればと思います。

 

笠井一子『京の大工棟梁と七人の職人衆』草思社

私たちはもはや無意識に、外気温に影響されにくく、一年中心地よい温熱環といった性能を高め、換気を機械に頼る住宅に住んでいます。

 

木造の家というのは、壁が、材木が、畳が、襖や障子が、いつも空気と湿気の調整をしてくれとる

中村外二 数寄屋大工

 

一方、日本の昔からの家は、木の1本1本の表情、自然界の個性を建築の中に生かすこと、すなわち、《生きている》ものとして扱うという技術を先達は備えていたことがわかります。この本は数寄屋大工の中村外二棟梁をはじめとし、左官、表具師、錺師、畳師、簾師、石工、庭師の7人衆の物語が書かれています。身体から出たことばがとてもうつくしい聞き語り本です。職人は身体からことばを生みました。

 

笠井一子『京の大工棟梁と七人の職人衆』草思社

ネットワーク加盟 新会員(団体)のご案内

この度、一般社団法人伝統を未来につなげる会一般財団法人京都伝統建築技術協会が本ネットワークにご加盟下さいました。

小さな運動体ですが、たくさんの方々に応援いただき、大変心強く感じます。

尚、同会が発刊されております「伝統を未来に」という冊子は非常に豊富な知見、一次情報から成り立ち、とても貴重なたいせつな文献です。

本運動がこうした深く耕された歩みを一歩でも先へ継げるような運動になればと思っております。

皆様、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

幸田文『幸田文 対話』岩波書店

岩波の『幸田文 対話』に西岡常一棟梁との対話が載っていると伺いました。

※「檜が語りかける」(昭和52年1月1日『世界』)他にも土門拳との対談「木のこころ」(昭和50年7月『もり』)などが載っております。

幸田:いつか、大きな材へ棟梁が墨を引いているときに、切るってどういうことって伺ったらば、いい面を2つ取ることだっておっしゃったわね。素人は役に立てるほうの木だけをいいものとして取って、あと要らないほうのことは考えないと思うけれど、そうじゃなくて、きれいに平らに切るには、片っ方がよけりゃ片っ方も自然にいい面になっている。こうおっしゃった。切るってことは、だから要らないところを取るっていうんじゃなくて、きれいな面が2つできる。

西岡:命を2つに分けてあげる。

木、土の見分け方など「生きている」自然の素材をみて、建築・修理を行う技術や知見が、時代を経て継受されるために、私たちの時代で出来ることは、各専門分野の知見や技術を各地域での具体的な事業化を通じて、現場レベルで総合的に捉え、足りない部分を互いに補完し合うことであると考えます。

そうした事業と制度や補助の仕組みが兼ね合うことで、事例の蓄積がなされ、その積み重ねが古民家の佳さや価値を自ずと(自然に)つたえる役割を果たすのではないでしょうか。