野口裕之「木の現在」

日本の伝統建築工法は西欧建築工法とは全く異なる体系を有しています。

日本の伝統建築工法は西欧建築工法の〈掘って埋めて立てる構造〉ではなく、〈造って置く〉構造であり、それは強度よりも釣り合いに主眼を措き、その釣り合いを求めて〈貫構造〉や釘を用いぬ〈木組み法〉などの知恵が結集された。

しかしながら、我が国における建築に関する制度体系は、西欧建築工法をベースとして成り立っており、日本の伝統建築工法に関しては、多くの実証研究がなされつつも、制度的な確立は十分とは言えません。

日本の伝統建築工法の最大の原理は〈木を生きているものとして扱う〉ことである。

大工は呼吸する木を扱い、南斜面に生えた木は南側に上下誤たなく、使い、製材された木材を一目見て、その背と腹、天と地を見分けることが出来るとされていました。必然的にそこには風土との感応があり、そこには文化が自ずと屹立します。私たちの先達は〈その居心地の佳さ〉を建築に取り入れながら暮らしていました。

建築は文化から生まれ、文化を支え返すものである

私たちの運動の狙いはここにあると考えます。

 

野口裕之「木の現在」「生きることと死ぬことー日本の自壊」の中のひとつのエッセイ

鈴木昌子編『これは教育学ではない 教育詩学探求』2006、冬弓舎

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