幸田文『幸田文 対話』岩波書店

岩波の『幸田文 対話』に西岡常一棟梁との対話が載っていると伺いました。

※「檜が語りかける」(昭和52年1月1日『世界』)他にも土門拳との対談「木のこころ」(昭和50年7月『もり』)などが載っております。

幸田:いつか、大きな材へ棟梁が墨を引いているときに、切るってどういうことって伺ったらば、いい面を2つ取ることだっておっしゃったわね。素人は役に立てるほうの木だけをいいものとして取って、あと要らないほうのことは考えないと思うけれど、そうじゃなくて、きれいに平らに切るには、片っ方がよけりゃ片っ方も自然にいい面になっている。こうおっしゃった。切るってことは、だから要らないところを取るっていうんじゃなくて、きれいな面が2つできる。

西岡:命を2つに分けてあげる。

木、土の見分け方など「生きている」自然の素材をみて、建築・修理を行う技術や知見が、時代を経て継受されるために、私たちの時代で出来ることは、各専門分野の知見や技術を各地域での具体的な事業化を通じて、現場レベルで総合的に捉え、足りない部分を互いに補完し合うことであると考えます。

そうした事業と制度や補助の仕組みが兼ね合うことで、事例の蓄積がなされ、その積み重ねが古民家の佳さや価値を自ずと(自然に)つたえる役割を果たすのではないでしょうか。

 

 

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