白揚社新書『都市の記憶を失う前に』後藤治+オフィスビル総合研究所
日本における多くの歴史的建築物はとても厳しい状況にあります。後藤は本書の中でその理由に関して、(1)国土の高度・効率的利用、(2)防災・安全への対策の課題を掲げ、歴史的建築物保全への具体的処方箋を論じています。
上記2つの公共性は、近代の日本、戦後とくに都市部の人口密度の高さの解消を目的に設定されたものです。人口減少時代を迎えた現在も尚、木造の低層建物× 鉄・コンクリートによる中高層建物○その大きな方向性は変わっておらず、そのための補助金の支給や低利融資等の公的資金の導入、税制優遇等の措置など各種事業が広く存在しています。
都市の記憶は、減価しない。むしろ、増価する。
その過程の中で、歴史的建築物をより柔軟に継ぐことのできるような法体系、ルールの設計と自然な実践な営みをつくりだす運動のデザインはどのようなものでしょうか。